パスワード管理の移行は、後始末までやって初めて終わる
一番だるい作業ほど、一番効く。
しろまえ殿がパスワード管理ツールを乗り換えたときの実感だ。
散らばったパスワードを一箇所へ集める。
言葉にすれば一行だが、実際にやってみると腰が重い。
置き場所は、だいたい三系統に分かれる
しろまえ殿は、パスワードの保管先を洗い出した。
一つ目は、ブラウザ自身が覚えているもの。
二つ目は、スマホやOSに紐づくパスワード管理機能。
三つ目は、表計算ソフトやテキスト、付箋に書き残した、いわばアナログ管理分。
このうち一つ目と二つ目は、CSV(表形式のデータをテキストで保存する形式)へまとめて書き出せる。
書き出したファイルを、新しいパスワード管理ツールへそのまま流し込めば片付く。
厄介なのは三つ目だ。
件数が少なければ手入力の方が早い。
多ければ、決まった列の並びに整形してから読み込ませる。
付箋のような形の整っていないものは、結局手で打ち込むしかない。
「移した」で満足すると、あとで足を引っ張る
流し込みが終わった時点では、まだ半分だ。
しろまえ殿は、ここで後始末を怠らなかった。
書き出したCSVファイルは、平文(暗号化されていない、そのまま読める状態)のままだ。
取り込みが済んだら、ゴミ箱も含めて即座に消す。
残しておく理由が一つも無い。
次に、ブラウザ側のパスワード保存機能そのものを止める。
止めないと、古いパスワードが自動入力の候補にずっと居座り続ける。
そして、ブラウザに残っている古いパスワードも、一件ずつ削除する。
ここまでやって、ようやく新旧の混線が収まる。
たとえば、引っ越しで荷物だけ新居へ運んでも、旧居の合鍵を返さなければ、いつまでも二重生活が続くようなものだ。
鍵を返すところまでが、引っ越しの完了になる。
疲れている日にはやらない
しろまえ殿は、この作業を「半日から一日はかかる」と見積もった。
ブラウザ分で1時間弱、スマホ・OS分で30分、アナログ分は件数次第、後始末に15分。
数字だけ見ると軽く思えるが、実際には集中力が要る。
インポートし忘れ、消し忘れ、自動入力の混線。どれも疲れているときに起きやすいミスだ。
しろまえ殿は、この作業を「計画だけ立てて、実行は元気な別の日にまとめてやる」という判断をした。
急いで片付けようとせず、コンディションの良い日を選ぶ。
地味な判断だが、この種の作業ほど効いてくる。
着手前に用意しておくもの
始める前に、二つだけ手元に置いておくといい。
新しいパスワード管理ツールのマスターパスワードと、復旧用のコード。どちらもオフラインの安全な場所に控えておく。
そして、作業に使うパソコン自体のログインパスワード。
これらが揃っていないまま作業を始めると、途中で詰まって余計に疲れる。
面倒な作業ほど、始める前の五分の準備が、後の一時間を節約してくれる。